蜀同盟

蜀の民よ、集いたまえ。~諸葛亮中心の三国志話と、現代世俗話~

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蜀同盟(c)吉野圭

引き籠もりの諸葛亮、AIは意外に「リーダーシップ有」と診断する

去年末頃AIがテキスト文章から性格診断してくれるというサイトを見つけ、色々と自分の文章や他人の文章を入れて分析し遊んでいた。

ついでに諸葛亮の『出師表』もテストして結果をプライベートブログへ掲載し、一時期ここでもリンクしていたが。

プライベートでは筆者をメインに語っているのでリンクをやめ、ここ用に編集し直して載せる。

 

※AIテキスト性格診断は下のリンクから。あなたのブログ文やツイッターで性格診断できます。

(注意)これはまだ研究段階で、同じ人の文でもスタイルによって結果が大きく異なることがありますので、何か一種の文の結果だけで鵜呑みにしないほうが良いと思います。ただ様々な種類の文を入れていくと、同一人物の文であれば変わらない共通項があることに気付くはず。

personality-insights-demo.ng.bluemix.net

 

『出師表』他、AIテキスト診断結果

中国語にはまだ対応していない、と言うか漢文に対応することは永久にないだろうから、日本語訳でテストした。

 

『出師表』

私、吉野圭の翻訳 結果:

表現に富むタイプであり、また社会的なタイプです.

 

自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. 自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています. また、哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます.

 

帰属につながる体験を好みます.

 

成功することと伝統の両方にあまりこだわりません. 自分の才能を誇示することにあまり拘らず意思決定します. また人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします.

 

実はこの診断結果があまりにも筆者自身と似通っていたので、もしかしたら日本語の句読点打ち方などだけで診断しているのでは? と疑った。

それで、他の方の訳でも試してみた。

 

他の方の翻訳 結果:

愛想の良いタイプであり、社会的なタイプであり、また自信のあるタイプです.

 

哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます. 自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. また、自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています.

 

帰属につながる体験を好みます.

 

生活を楽しむことと伝統の両方にあまりこだわりません. 単なる個人の楽しみよりも大きな目標を伴う行動を優先します. また人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします.

 

結論から言えば、私の訳文は「愛想がない」ということになるかな(笑)。

まあ愛想がないのは当たっている。シンプルイズベストだよ。

 

このように翻訳によって表面的な結果(一行目)は変わるらしいが、基礎的な項目(二行目以降)が共通していたのは驚きだった。

 

『戒子書』

この結果も基礎的な項目は似通っている。

 

『戒子書』結果(他の方の訳):

情に厚いタイプです.

 

哲学的なタイプです: 新しいアイディアに興味をそそられ、進んで受け入れ、探求することを好みます. 自己主張が強いタイプです: 遠慮なく発言し、その場をリードする傾向があります。また、集団を統率できます. また、自分に自信があるタイプです: 始めたことを成し遂げる能力があると思っています.

 

発見につながる体験を好みます.

 

伝統にはあまりこだわりません: 人が通った道よりもわが道を行くことを大切にします. 他人への支援があなたの行動に大きな影響を与えています: 自分のまわりの人々を世話することは重要であると考えます.

 

まとめ。

AIによれば、『出師表』に表れた諸葛亮の性格傾向は主に下記の通りになる。

 

  • 遠慮なく発言し場をリードする、集団統率力あり
  • 哲学的、新しいアイディアを好む、知的好奇心高め
  • 自信がある、初志貫徹の気持ちが強い
  • わが道を行く
  • 伝統へのこだわりは低い

 

一般に、

「控えめ(引っ込み思案)」「引き籠もり」

「リーダーシップ ゼロ(長の器ではない)」

「伝統(儒教などのルール)にこだわり縛られる」

というイメージの諸葛亮とは、真逆の結果 では?

 

私は彼について、「新奇のアイディア好き」「伝統にこだわらない」「我が道を行く」の結果は始めからそうだろうと思っていたので意外ではなかった。

だが「自信がある」「リーダーシップ有」には心底驚いた。

(幼い頃から引っ込み思案だった自分について同じ結果が出たことにも驚愕したが。笑)

 

AIは人間たち、本人でさえも分からない高い次元から何かを見抜いているらしい。

 

現代的なリーダーに必要なのは「革新性」

ただ留意して欲しいのは、これはIBMが作ったテストであり、「リーダーシップ」の概念も現代欧米の思想に基づくということ。古代東洋とは異なる。

 

現代欧米的な「リーダーシップ」を持つ人の例は、

 オバマ元米国大統領

 ガンジー

 キング牧師

等。

強さと威厳で民をコントロールする古代的リーダーとはだいぶ違うことが分かるだろう。

 

詳細分析のためにサンバーストチャート*1を見ると、「ビッグファイブ」の項目で、近現代リーダーたちは概ね「Openness(開放性)」が高い傾向があるらしいと分かった。

 

「Openness」とは、知性や創造性など外界の情報を取り入れ、はたらきかける能力のこと。
この数値が高いと革新性があり、保守性はあまりないということになる。
つまり現代で言うところのリーダーとは「革新性」を有する人であるらしい。

 

以下が諸葛亮『出師表』のサンバーストチャート。

 

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 意外にも開放性が最も高く外向性があり、忠実性や憂鬱さ(メランコリック・共感性)はさほど高くないという、世間評価と真逆!の結果。
これは挑戦を表す文書だから真実その通りだと思うが、人間による評価とのあまりの違いに驚く。

 

 テキスト診断と普段のビッグファイブは異なることに注意

 付け加えておくと、このテキスト診断によって出る結果と、普段の状態で「性格診断テスト」として受けるビッグファイブの結果とは異なるらしい。

 

筆者も諸葛亮と同じくテキスト診断では概ね「Openness」が最も高く外向性もあり、調和性や共感性が低いという結果が出るのだけど、性格診断としてビッグファイブを受けると共感・調和・誠実性の数値が平均値を超える。(ただしOpennessだけはどちらも高い)

どちらが本当の自分なのか? と言えば後者のほう。

「控えめで大人しいマジメな人。積極性に欠けるのがキズ」

と言われてきた幼い頃からの自分には日ごろの診断のほうが当たっていると感じる。他の科学的診断でも軒並み似たような結果が出るし。

 

どうやら、文章だけで積極性が出せるタイプは現実にいるらしい。

(他人事で言って申し訳ないが)

 

おそらく諸葛亮も普段は一般のイメージ通り控えめなタイプだったと思う。

人間は相手の性格を知っている場合に文章にもその人格イメージを重ねて読む。だから諸葛亮『出師表』を

「控えめ、ネガティブ、メランコリック」

と読んだ人が多いのかもしれない。

さらに最後の一文が「メランコリック」を際立たせているので、多くの人がそのイメージに引きずられたとも言える。

でもAIは前知識での思い込みを重ねたり、一文のイメージを膨らませることがないので、純粋に「与えられた文章のまとまり」に表現された人格タイプを導き出す。

 

どちらが正しく人物を評価しているのかと言えば、やはり普段も重ねて総合的に観る能力を持つ人間のほうだろう。

 

偉大な歴史家である陳寿のように、多くの情報を総合的に分析する力はまだ人間のほうが上。

ただ今回の例で分かった通り、全体イメージの陰に隠れて人間が見落としている思いがけないポイントをAIが突いてくれることがあるらしい。AIがくれた情報を活かすかどうかは人間次第と言える。

 

*1:円形グラフのこと。詳細分析データ。このサンバーストチャートで近現代リーダーの傾向を見るには→サンプル結果への直リンクは出来ないようなので、『Personality Insights』からたとえばガンジーさんやオバマさんを分析したあとに右下「結果をサンバーストチャートで見る」をクリックしてください。

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