蜀同盟

蜀の民よ、集いたまえ。~諸葛亮中心の三国志話と、現代世俗話~

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蜀同盟(c)吉野圭

宮迫と吉本社長の会見を見比べ、世間の反応を観察する

この件はこちらで書こう。過去にこの件について触れた記事。

 

※この記事でもタレントさんについて敬称略とします

 

愚民度を観察できる機会

昨日、プライベートブログのほうで

「我々、民が心を磨いて何が義で道理であるかを見極めなければならない。
古代の人々のように民度を高め、私利私欲とは反対の志を持たなければならない。

我々自身、甘い言葉に騙されて左右される「愚民」であってはならないのだよな。」

と書いたのだけど、

実際に現代日本人がどれだけ愚民に近付いているかということは選挙以外のときでも感じ取ることができる

特に今回の宮迫・田村亮のように、一般に知名度の高いタレントが起こした不祥事について、世間の反応を観察しているとよく分かる。

 

私はデータ分析の仕事をしている者ではないし、フレックスながら仕事を持つ勤め人なので、長時間の会見などとうてい見ていられない。

昨日の吉本興業社長の会見も全て見たわけではなくニュースで断片的に見たり、会見を全て見た人からの話を聞いたのみ。

それでも少しの情報で分かったことがある。

世論データ分析の仕事をしている人や、心理分析の学者さんは有用な資料として今回の世間の反応を記録しておくべきと思う。

 

宮迫サイテー → パワハラ事務所ひどい!

世間の人々の反応をざっくりまとめると、まず報道があった当初はこんな意見が多かった。

 

「闇営業をあっせんした入江は完全に悪い奴。後輩を引き連れて参加した宮迫も最低。

“金を受け取ってない”とか言っているが、受け取っているに違いない」

「宮迫は反社グループと関わっていた悪い人なんだ……完全に反社の一員じゃん。こわーい」

「巻き込まれた後輩芸人たち、かわいそう。給料出ないしお金がないんだから闇営業しても仕方ないのに。悪いのは詐欺グループからの仕事をあっせんした入江、分かっていて仕事を受けた宮迫」

 

それが20日の宮迫・田村亮の会見で一変。

「事務所のパワハラ酷い!」

「吉本の事務所社長が全面的に悪い!」

「悪の巣窟は事務所、事務所を潰せ!」

「宮迫と亮がかわいそう。二人を復帰させろ!!」

……

 

感心してしまうほど見事な手のひら返し。

その後、事務所が会見し5時間も説明したのだが、もう皆さん「パワハラ悪徳事務所」とのイメージしか持っていないので聞く耳を持たない。

もちろん冷静に眺めている人もいるのだけど、その人たちは少数派で意見は打ち消されている。

 

この状況に恐怖を覚えているのは私だけだろうか……?

 

冷静に把握すべきこと

全般的な話をする前に、今回の事件で整理をつけて考えねばならないことを挙げておく。

 

まず第一に、

1.タレントが闇営業で反社から金を受け取った問題と、事務所のタレントに対するパワハラは別問題

ということだ。

 

皆さんが怒っている芸能事務所のパワハラも、確かに問題ではあるだろう。

吉本興業に関する以下の問題点、

2.タレントは事務所の業務命令に服する労働者なのか、それとも自営業主としての下請けなのか契約形態が判然としない(わざと契約をはっきりさせないわりに専属扱いで縛る。これは奴隷契約として民法や憲法にも違反する可能性がある)

3.タレントに対して「クビにする」「うちを辞めたあとはテレビ局へ圧力かけて出られないようにしてやる」等々、脅して命令に従うことを強要する。これは人権侵害であり、刑法上の脅迫罪が成立する要件を満たす

これらのことは、元々が日本古来の「女衒」「人買い」から発した芸能事務所がはらむ重大な人権上の問題として、国が法整備をし規制していくべきだ。

しかし規制には時間がかかる。業界の慣習が変わるのはもっと時間がかかるだろう。

タレントが自らパワハラ問題で法廷の場で争うなら、その時に話せばいいことで、今は別のこととして考えなければならない。

 

それなのに世間の皆さんは全ての問題をごちゃ混ぜにしてしまう。

ツイッターなどSNSユーザーも、テレビのコメンテーターも誰も整理をつけて考えようとしない。

 

何よりも

「1.タレントが闇営業で反社から金を受け取った問題と、事務所のタレントに対するパワハラは別問題」

ということが最も大事なのだが、皆さん何故か視線が一気に「パワハラ」へ移行してしまい、そもそも何がきっかけで起きた騒ぎなのかすら忘れてしまっている。

 

この視線逸らしは、意図的に誘導されたものだと気付かないのだろうか?

手品師が顔の前で派手な動きをして観客の視線を集めているうちに、背中で何かを隠したりする。それと同じ。

誘導したのはタレントでありパフォーマンスのプロである宮迫なのだが、見事に皆さん騙されてしまって宮迫自身の問題へ目を向けることを忘れている。

 

会見で気付くべきだったこと

吉本興業の社長は一般人なのでタレントのように話し方がうまくない。

タレント VS 一般人

のパフォーマンス戦争だったら、百戦錬磨のタレントが勝つに決まっている。

 

だからこそ受け取り手が、パフォーマンス部分を抜いた情報だけで判断しなければならないはず。

 

両者の会見を見比べて気付くべき重大なこととは、宮迫が会見で語ったことが嘘であったという点だ。

嘘とは「パワハラ発言」のことではない。(パワハラ発言があったことは事実なのだろう)

宮迫が、

「(亮と自分が)会見で謝罪したいと言ったのに社長に止められていた」

と述べたことだ。

 

吉本興業社長によれば、事実は違う。

「謝罪会見をしたい」

と主張していたのは亮だけであり、宮迫ら他メンバーは「会見するのは良くない。会見すべきではない」と反対していたという。

それでも、「会見させてくれ」と一人熱く訴える亮と「ちょっと待て」と止める宮迫らが言い争いになり、収拾がつかなくなったために社長は

「お前ら(自分の保身ばかり考えるの)ええ加減にせえ。全員クビにしてやるから勝手に会見やれ」

と一喝したのだそうだ。

クビにする、という台詞について「冗談だった」との言い訳はどうかと思うが。普段からパワハラしていなければそういう発言は咄嗟に出て来ない。大いに問題がある。

とにかく、あたかも最初から宮迫自身も「謝罪会見したい」と亮と二人で訴えていて、二人とも社長に止められていたかのように語ったあの話はどうやら嘘だということになる。

※仮に裁判となればその場にいた他の当事者に証言させることになるだろう。宮迫がこの時の社長の言葉を、ニュアンスや声のトーンを変えて話していたのも気になる

 

それから契約解除(解消)を告げたのは宮迫だけに対してであり、田村亮に関しては謹慎処分のままで何も告げていないとのこと。

この点も宮迫の話と食い違っている。

 

田村亮は、弁護士のもとへ契約解除の書面が届いたという話を聞いて「自分も契約を切られた」のだと勘違いしたのだろうか。それとも以前と同様に、宮迫から言い含められて話を合わせることにしたのか。

とにかく宮迫と自分の状況・立場は違うのだという自覚は亮にないらしい。

 

ここから数行は個人的なイメージ。少し穿った見方かもしれない。

宮迫は、純粋に「謝罪会見したい」という想いを持つ亮を横に置いて語らせれば、自分も同じイメージで見られるとの計算を持っていたのではないか?

だとすれば宮迫の計略は大成功し、世間は見事に騙されたわけだ。ブラックが濃い宮迫のうえに、亮のホワイトを載せてグレーにすることに成功。いやむしろ皆の視線が事務所へ移ってしまったので、完全ホワイト化に成功したか。

さすがプロのパフォーマーだと思った。

 

余談ながらZOZO前澤社長が

「作り込まれた会見。宮迫の神妙な顔を見て笑ってしまった」

とツイートし炎上し、削除に追い込まれたという。

私は全面的に前澤社長のツイートへ賛同するわけではないが(笑うような話ではないでしょうに)、鋭い感性で本質を感じ取っていたのかもしれないとは思う。

 

今後、宮迫に関してはもっと深い情報が出て来るような気がしてならない。

その時、宮迫の話を鵜呑みにして事務所を叩いた世間の人たちはどうするだろうか?

特に宮迫をかばって事務所を一方的に叩いている芸人たち。

これからも観察していこう。

 

芸人たちの甘さが目立つ

これはまた別の余談。

今回の件で最も違和感を覚えたのは周りの芸人たちの態度だった。

仲間を守りたいという気持ちは分かるが、あまりにも冷静さを欠いた一方的な擁護だと思う。

 

特に気になったのは、所属している芸人たちが何故か事務所に「愛がない」と言っていること。

世間知らずもいいところだ。世間のビジネスはこんなに優しくない。

 

そもそも完全に業務規則に服する会社員ならまだしも、契約上は下請け(と推測される)の個人事業主に近いタレントたち。

通常の会社なら、下請けが反社とわずかでも関われば問答無用でさっさと切り捨てて当然だ。コンプライス違反で契約違反をし、損害を与えたのは下請けのほうであるから契約解除は不当とならないし、損害賠償を請求されても当然のケースだと思う。

それなのに吉本興業は即刻の契約解除や賠償請求をせずに、やり方や態度はどうあれ「所属タレント」を必死で守ろうとしていた跡が見える。守ろうとしているタレントから嘘をつかれて以降も。

会社を通さずにした仕事において反社と関わり、嘘までついていた者を守る義務など、法的にも世間の常識に照らしても全く無いというのに。

 

世間の常識を超える保護を受けておきながら文句を言っているタレントたちはいったい、本当に成人なのだろうか。

※繰り返すが、奴隷契約とパワハラについては不当なことだし文句を言っていい。そのような業界の悪習は改善すべきだ。ただそれと今回のこととは別。有名タレントさんたちはプロとして大人としての責任感はないのか?と言いたい

「自分たちが法律違反をしても事務所が守ってくれて当然」などと、主張できるのは未成年の子供くらい。(未成年でも扶養義務のある親ではないのだから保護には限度がある)

 

世間の個人事業主や経営者は、どれほど小さな規模であってもたった一人で責任を負って仕事をしている。

事業主ならば反社と関わらないように気を付け、無闇やたらと未知のパーティなどへ参加しないのは当然のことだし、判断力がなく誤って関わったとしたら処分を受けても仕方のないことと考える。

しかしこのタレントたちは、大人として・プロのタレントとしての自覚もなく、「何かあったら責任を負うのは事務所」とあぐらをかいて適当にパーティなどへ参加していたのではないだろうか。

タレントたちが我が身を振り返って襟を正すこともなく、発言力という権力にまかせて事務所を一斉にたたいている状況は違和感しかない。大人のやることではない。

世間に比べて、芸能界とは何て甘い世界だろうと思わざるを得ない。

 

※AKSの山口真帆のケースとはかなり状況が違う。山口真帆はあれほど若い女性であり、犯罪被害に遭って脅迫され怯えているというのに、勇気を振り絞って事務所の悪事を告発した。それは一個の勇気ある被害者の訴えであって、逆に犯罪と関わり事務所から守られる立場となった吉本芸人とは逆だ。

それなのに吉本芸人たちもメディアも、山口真帆を真似て会見と同時刻にSNSで事務所叩きの声を発信した。一流芸人たちが若い女子が切り開いた道を安易に模倣し、保身をはかろうとするとは情けない。

 

反社よりも遥かに怖いのは、声の大きい人の言葉を鵜呑みにする世間

今に始まったことではないが、今回の件で世間の人々がいかに表面のイメージしか見ていないかということを思い知った。

パフォーマンスがうまかったり、知名度があったり、声(人数)が大きい者たちの話はとても簡単に鵜呑みにしてしまう。

 

誰も情報そのものを考えない。

そして漠然とイメージだけで「悪者」を決めつけてしまう。

 

いやイメージは決して否定すべきものではない。

実はコンマ数秒の第一印象で相手の本性を見抜く能力を全ての人が持っている。

古代の人はこの感性が高く、しかも自分をごまかすための思考をしなかったので「ついて行っていい人(善人)」「ついていくと殺される人(悪人)」を明確に分けることができた。

しかし現代人は感性が弱くなったうえ、浅い情報に飛びついて自分の思考さえごまかし変えてしまうため、とんでもなく真実からかけ離れた話を信じる。

 

 たとえば三国時代、当事者であった同時代の人々が蜀の人物を「善」と称え、魏のトップ曹操を「悪」と呼んだ。

それは当時の人間の肌感覚によるイメージではあったが、おそらく曹操が民衆虐殺したなど現実の出来事にも基づく総合判断であった。

ところが現代の人々は、政策的に捏造された「新史観」とやらを鵜呑みにし、

「本当は曹操様は善人で、正義の人だった」

「蜀の劉備と諸葛亮は極悪人だった」

という作り話を信じている。

虐殺などの話は「無かった」と言われればそのまま信じる。あるいは、「虐殺は素晴らしいことだ」と教えられ、あろうことか賛同し、「曹操様の虐殺は素晴らしいご英断だった」と絶賛する。

感覚が絶望的に鈍いだけではなく、人間としての基礎的な道義心を歪めてまで狂気を歓迎するのだから恐ろしい。

 

現代人は感覚が鈍いうえに、思考力が無い。

全ての情報を総合的に判断し本質を見抜くなどということができるのは、現代では少数らしい。

最低でも人間として「やってはいけないこと」くらいには抵抗すべきだが、現代人にはその道義心すら無いらしい。サイコパス圧倒多数の世の中と言えるだろうか。

 

こんな劣化した人々ばかりの社会に、パフォーマンスの天才であったヒトラーや曹操などが降臨したら皆が完全かつ熱烈に心酔してしまうだろう。

(パフォーマーとしてはヒトラーに遥かに劣る宮迫の話でも鵜呑みにしてしまうくらいなのだから)

 

 

反社会的勢力よりも、むしろこの圧倒多数の劣化した庶民のほうに私は恐怖を覚える。

 

 

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